「新規事業でも既存事業でも使える良い補助金はありませんか?」
このゆなお問い合わせ・相談が増えています。今回は東京都で事業を営む方へ向けた補助金のご案内です。
2025年4月25日より、「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)」の公募がスタートしました。この補助金は、東京都で事業を営む中小企業を対象に、既存事業の「深化」、「発展」のための費用の一部を補助する制度です。

既存事業で使っている設備の交換(性能・効果は同等)などは対象外ですが、改善や発展、新規事業に使える幅広い補助金となっています。
この補助金は昨年募集されていた「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」の後継の補助金となります。とても使いやすい補助金であることから、昨年も大変な人気がありました。ですが応募者数が限られていたために、応募受付が6分で終ってしまったこともありました。その点が改善され、現在は応募者数を限定せず、期間内の応募受付となりましたが、その代わりに倍率が高くなりました。
今年度は以下の2つに分けて募集されるため、応募が分散されて倍率は落ち着く可能性があります。助成対象経費が助成金額が異なります。
①事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)

②事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース)

※なお、(小規模事業者向けアシストコース)については執筆時現在、募集要項が公開されていないため、今回は説明を割愛します。
今回は①事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)について紹介します。
1.補助金の概要
・中小企業の創意工夫を活かして、既存事業を深化・発展させる計画を作成した場合に各種支援を展開することで、都内中小事業者の経営基盤を強化することを目的としています。

・助成金額等については以下の通りとなります。

対象経費のうち2/3(賃金引上げ計画なし)が助成される計算となります。
対象経費1200万円(税抜き)のときに、2/3の800万円:助成限度額になる計算です。
面接審査がある点も注意したいところです。
なお、申請受付期間は以下の通りとなります。

2.申請要件
※重要度を鑑みて一部抜粋しています。詳細は公募要領をご確認ください。
番号は公募要領記載のものに合わせています。
1 都内の中小企業者で、大企業が実質的に経営に参画していないこと。
2 申請受付開始日 時点で下記ア・イのいずれかに該当すること。
ア 法 人:本店(実施場所が都内の場合は支店でも可)の登記が都内にあること
イ 個人事業者:納税地が都内にあること
3 申請受付開始日 時点で下記ア・イ ・ウのいずれかに該当すること。
→最もお問い合わせが多い点です。自社が対象になるか、ご確認ください。
ア 直近決算期の売上高が、「2023 年の決算期以降のいずれかの決算期」と比較して減少していること
イ 直近決算期において損失を計上している こと
ウ 米国関税措置による影響により、次期決算期の売上高が、直近決算期の売上高と比較して
減少することを見込んでいること
※「2023 年決算期」とは、決算月が 2023 年1月~ 12 月に属する決算期とする。
(例)決算月が12 月の場合は 2023 年 1月~ 12 月
決算月が3月の場合は2022 年4月~ 2023 年3月
※直近の決算期が2024年の場合、売上高が2023年の決算期と比較して減少している、又は 2024年の決算期で損失を計上している場合が要件に該当します。
4 下記の事業において、1 度も交付決定を受けていない、または申請中でないこと。
・本事業(本コース及び小規模事業者 向けアシストコース)
・新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(経営改善計画策定による経営基盤強化支援
一般コース)
5 申請内容が、申請者が所有又は賃借する 本社・事業所・工場等 において取り組まれ 、 実施場所に応じて以下の条件を満たすこと。

8 下記①~ ⑩ の要件を満たすこと
①同一テーマ・内容で、公社・国・都道府県・区市町村等から助成等を受けていないこと。
②同一テーマ・内容で公社が実施する助成事業(他の事業を含む。)に申請していないこと。ただし、
過去に本事業及びその他の事業において、採択されたことがない場合は、この限りではない。
③事業税等を滞納(分納)していないこと。
④東京都及び公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いが滞っていないこと。
⑤申請日までの過去5年間に、公社・国・都道府県・区市町村等が実施する助成事業等に関して、不
正等の事故を起こしていないこと。
⑥過去に公社から助成金の交付を受けている者は、申請日までの過去5年間に「企業化状況報告書」
や「実 施結果状況報告書」等を所定の期日までに提出していること。
⑦民事再生法又は会社更生法による申立て等、助成事業の継続について不確実な状況が存在しない
こと。
⑧助成事業の実施に当たって必要な許認可を取得し、関係法令を遵守していること。
⑨公社が連鎖販売取引、ネガティブ・オプション(送り付け商法)、催眠商法、霊感商法など公的資
金の助成先として適切でないと判断する業態を営むものではないこと。
⑩その他、公社が公的資金の助成先として適切でないと判断するものではないこと。
3.助成対象期間
助成対象期間は、交付決定日 から 1年間 です。この期間内に契約・実施・支払が完了する経費が助成対象になります。

※助成対象外となる頻出例 (助成対象期間関係)
〇交付決定を受ける前に、発注・契約等をした場合
〇発注の遅れ等により、納品日が助成対象期間を超えた場合
〇クレジットカードで支払ったが、銀行口座からの引き落とし日 が助成対象期間を超えた場合
引き落としが、カード利用日の属する月の翌月に 行われる 場合に多く見られます。 助成対象期間内
に支払を終えられるよう、発注時期等にご注意ください。)
4.助成対象経費
※重要度を鑑みて主要なものを抜粋しています。詳細は公募要領をご確認ください。

製品・サービスの改良等に使うものが対象となり、販売用製品・材料費などの原価になるものは対象外になる点が注意です。数量管理も必要になる点も留意しておきましょう。





5.賃金引上げ計画 (希望者のみ)
賃金引上げ計画書及び関係書類を提出し、助成事業の実施後に賃金引上げ計画を達成した場合、賃金引
上げ要件の助成率を適用します。賃金引上げ計画又は達成状況が確認できない場合は、 賃金引上げ要件の助成率が適用されません。

6.この補助金に適さない人
・設備投資額が大きくない人
申請書や事務手続きが多くなることが予想されます。コストパフォーマンスを考えると、目安として300万円以下の方は他の補助金をおススメします。
・すぐにお金が欲しい人
補助金は①採択(合格)→②発注・購入、支払い→③報告書類提出→④清算払い、の流れで進みます。
①~④まで1年半ほどかかることも珍しくありません。その間、事業者様がこの経費額を建て替えることとなります。資金繰りを考えると融資も検討する必要があります。
・パソコン作業が苦手な人
この補助金はインターネットでのオンライン申請となります。行政書士などの有資格者でも代理申請が認められない可能性があります。代理申請をした時点で不採択(不合格)となってしまう補助金が増えてきているため、事業者様自身で申請する心づもりでいた方が良いです。あまり難しい作業ではありませんが、エクセルやワードのソフトが使えない方はお勧めしません。
最後に
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)についてポイントを絞ってご案内させて頂きました。詳細についてはHPや公募要領(ルールブック)を参考に検討してください。
一般的に補助金額が大きくなるにつれて、求められる申請書のレベルが高くなり、作業の手間も増えます。この補助金は金額が大きいため、相当程度の申請書と対応が求められます。
申請にあたっては早めに準備することが必要です。当事務所では補助金に強い中小企業診断士・行政書士(経営展開サポート事業・再構築補助金・ものづくり補助金の採択実績多数)がサポート対応していますので、お気軽にご相談ください。
なお、問い合わせ状況によっては早めに対応受付を終了させていただきますのでご了承ください。
参考ページ
・事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース) ホームページ
・公募要領(ルールブック)などの資料ダウンロードページもご参考ください
本記事は2025/4/25に公表された事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の公募要領を参考に作成しています。最新情報・更新についてはホームページをご参照ください。