外国人経営者とコンサル
2025年6月3日

「中小企業新事業進出促進補助金」に求められる「新事業」の定義

新事業進出指針の手引き

2025年4月22日より、「中小企業新事業進出促進補助金」の公募がスタートしました。この補助金は、中小企業が新分野への進出や業態転換を図る際に、その初期費用の一部を補助する制度です。

以前、コロナの影響で売上を下がった方を対象にした「事業再構築補助金」がありましたが終了となり、同様の内容の補助金として「中小企業新事業進出促進補助金」(以降、「新事業進出補助金」)へと名前を変えてリニューアルされることとなりました。最大9000万円と金額が大きい補助金でもあるため、注目を集めています。

新事業進出補助金については以前、当ブログにて内容を紹介していますので、そちらもご参考ください。

今回はこの新事業進出補助金に求められる「新事業の定義」について紹介します。

1.新事業進出指針の要件

新事業進出補助金の対象を明確化するため、「新事業進出」の定義について、「新事業進出指針」が示されています。こちらを参考に「新事業」の定義を確認していきます。

新事業進出指針は、「①製品等の新規性要件」、「②市場の新規性要件」、「③新事業売上高要件」の3つの要件で構成されています。

新事業進出要件を満たすためには、以下の①~③のすべての要件を満たす事業計画を策定する必要があります。

また、ここでの「新規性」とは、補助金を使って取り組む中小企業等にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)までは求められません。①~③について詳しく見ていきましょう。

2.要件①製品等の新規性要件

製品等の新規性要件では、補助事業で新たに製造等する製品等が、事業を行う中小企業等にとって、新規性を有するものであることが必要です。過去に製造等したことがある製品等を再製造等する場合などは、製品等の新規性要件を満たさないことになります。

補助金の公募開始(=公募要領公開)日以降に初めて取り組んでいる事業について、「新規性」を有するものと判定します。

補助金においての「事業」とは事業化段階が第1段階(製品の販売、又はサービスの提供に関する宣伝等を行っている。)以上であることを指します。なお、事業化段階とは、以下のように定義されています。

補助金の公募開始(=公募要領公開)日時点で、補助事業で製造等しようとする製品等の事業化段階が第1段階以上である場合は、すでに事業を開始しているとみなし、製品等の新規性要件を満たさないことになります。

なお、新規事業の実施にあたっては、申請者自身が様々な要素を考慮し、事業の内容を決定することが好ましいことから、計画内容や社内体制の検討・支援機関や取引先等への相談、市場調査などを実施することは、事業の開始とはみなしません。以下の例も参考にして下さい。

3.評価が低くなる例

中小企業による大胆な新事業進出を支援する観点から、下記のような事例は相対的に評価が低くなる場合があります。該当しないかチェックしましょう。

➢ 事業者の事業実態に照らして容易に製造等が可能な新製品等を製造等する場合
(例)自動車部品を製造している事業者が、容易に製造が可能なロボット用部品を製造する場合


➢ 既存の製品等に容易な改変を加えた新製品等を製造等する場合
(例)自動車部品を製造している事業者が、既存の部品に単純な改変を加えてロボット用部品を製造する場合


➢ 既存の製品等を単に組み合わせて新製品等を製造等する場合
(例)自動車部品を製造している事業者が、既存製品である2つの部品を単に組み合わせたロボット用部品を製造する場合

4.要件②市場の新規性要件

市場の新規性要件では、補助事業で新たに製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな市場であることが必要です。

新たな市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指します。

申請書では以下を説明する必要があります。
①既存事業と新規事業の顧客層が異なること
②既存事業の対象顧客層を明確にしたうえで、新規事業の対象顧客層が明確に異なること

市場の新規性要件に該当しない例
➢ 既存の製品等と対象とする市場が同一である場合
(既存の製品等の需要が新製品等の需要で代替される場合・単なるメニューの追加と考えられる場合)

➢ 既存の製品等の市場の一部のみを対象とするものである場合

5.要件③市場の新規性要件

新たな製品等の売上高(又は付加価値額)が、事業計画期間最終年度において、応募申請時の総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となることが見込まれる事業計画を策定することが必要です。

応募申請時の直近の事業年度の決算に基づく売上高が10億円以上であり、かつ、同事業年度の決算に基づく売上高のうち、新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、事業計画期間最終年度において、新たな製品等の売上高(又は付加価値額)が、応募申請時の当該事業部門の売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となることが見込まれる事業計画を策定することでも、要件を満たします。

事業計画において、上記の要件を満たす収支計画表を作成し、算出根拠とそれらを達成するための取組について具体的に説明する必要があります。

売上高の10% (又は総付加価値額の15%)は申請するための最低条件です。新たな製品等の売上高がより大きな割合となる計画を策定することで、審査においてより高い評価を受けることができる場合があります。

6.新事業進出指針を満たす例(イメージ)

7.最後に

新事業進出補助金の定義する「新事業」について、経済産業省が公表している「新事業進出指針の手引き」をご案内させて頂きました。
詳細についてはHPや公募要領(ルールブック)を参考に検討してください。

一般的に補助金額が大きくなるにつれて、求められる申請書のレベルが高くなり、作業の手間も増えます。新事業進出補助金は補助金額が大きいため、相当程度の申請書と対応が求められます。

申請にあたっては早めに準備することが必要です。当事務所では補助金に強い中小企業診断士・行政書士(再構築補助金・ものづくり補助金の採択実績多数)がサポート対応していますので、お気軽にご相談ください。
なお、問い合わせ状況によっては早めに対応受付を終了させていただきますのでご了承ください。

参考ページ

新事業進出補助金HP

「新事業進出指針の手引き」

公募要領(ルールブック)などの資料ダウンロードページもご参考ください

本記事は2025/4/22に公表された新事業進出補助金(第1回)の公募要領1.0版および新事業進出指針の手引き1.0版、を参考に作成しています。最新情報・更新については新事業進出補助金HPをご参照ください。

人気の記事

  • 経営管理ビザの要件が厳格化されました

    令和7年10⽉16⽇より、経営管理ビザの許可基準についての大

    Read more
  • 外国人経営者のための人材紹介業・人材派遣業の許認可取得ガイド

    日本で人材紹介業や人材派遣業を始めたいと考える外国人経営者に

    Read more
  • 新事業進出指針の手引き

    「中小企業新事業進出促進補助金」に求められる「新事業」の定義

    2025年4月22日より、「中小企業新事業進出促進補助金」の

    Read more