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2025年4月23日

「中小企業新事業進出促進補助金」第1回の公募が始まりました!

新事業進出補助金
新事業進出補助金

「新規事業を始めるにあたり、補助金はありませんか?」というご相談を多く頂きます。今回はそんな方へ向けた補助金のご案内です。

2025年4月22日より、「中小企業新事業進出促進補助金」の公募がスタートしました。この補助金は、中小企業が新分野への進出や業態転換を図る際に、その初期費用の一部を補助する制度です。

以前、コロナの影響で売上を下がった方を対象にした「事業再構築補助金」がありましたが終了となりました。ですが、同様の内容の補助金として「中小企業新事業進出促進補助金」(以降、「新事業進出補助金」)へと名前を変えてリニューアルされることとなりました。最大9000万円と金額が大きい補助金でもあるため、注目を集めています。

今回はこの新事業進出補助金について紹介します。

1.補助金の概要

・既存事業と異なる事業への挑戦・進出を後押しする補助金です

(1)補助金額
従業員数 補助金額
従業員数20人以下 750万円~2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人 750万円~4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人 750万円~5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上 750万円~7,000万円(9,000万円)
※ 賃上げ特例の適用による補助上限額の引上げを受ける事業者の場合、括弧内の補助上限額を適用

(2)補助率:1/2
→対象経費(税抜き)の1/2が補助され、その上限額が上記の補助金額となります。
従業員数20人以下であれば、5,000万円(税抜き)の対象経費で補助金額2,500万円となる、
という計算になります。

(3)補助事業実施期間
交付決定日から14 か月以内(ただし採択発表日から16 か月以内)
→この期間の間に発注・購入~納品~支払いまでを終える必要があります。

(4)補助対象経費
機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専
門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費
→後ほど説明します。

2.補助対象者

・対象は中小企業となります。資本金と社員数により判定され、大企業だと対象外です。

https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

一般財団法人及び一般社団法人については、非営利型法人に該当しないもの(営利事業を営む方)も対象となります。

また、以下の方は対象外になりますので、こちらも注意しましょう。
・【対象外】申請締切日から16か月以内に「新事業進出補助金」、「再構築補助金」、「ものづくり補助金」に採択された事業者(採択を辞退した事業者を除く)、補助事業実施中の方は対象外になります。

・【対象外】みなし大企業:発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者等。大企業の出資を受けている、または役員がいる場合は対象になることがあります。詳細については公募要領で確認しましょう。

【対象外】 応募申請時点で従業員数が0名の事業者
※ 中小企業等の新規事業への進出を通した企業規模の拡大や賃上げを事業の目的とすることから、従業員が0名の事業者は対象となりません。


・【対象外】新規設立・創業後1年に満たない事業者
※ 中小企業等の新規事業への進出を事業の目的とすることから、創業間もない事業者は対象となりません。最低1期分の決算書の提出が必要です。

・【対象外】みなし同一事業者:親会社が議決権の50%以上を有する子会社が存在する場合、親会社と子会社は同一事業者とみなし、いずれか1社のみでの申請しか認められません。また、親会社が議決権の50%以上を有する子会社が複数存在する場合、親会社と複数の子会社は全て同一事業者とみなし、このうち1社のみでの申請しか認められません。代表者及び住所が同じ法人、主要株主及び住所が同じ法人、実質的支配者が同じ法人についても同一事業者とみなし、そのうち1社のみでの申請しか認められません。このあたりも細かいルールがあるため、詳細については公募要領で確認して下さい。

3.申請にあたっての要件

(1) 新事業進出要件
新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること

① 製品等の新規性要件
事業を行う中小企業等にとって、事業により製造等する製品等が、新規性を有するものであること。
② 市場の新規性要件
事業を行う中小企業等にとって、事業により製造等する製品等の属する市場が、新たな市場であること。新たな市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指す。
③ 新事業売上高要件
次に掲げる要件のいずれかを満たすこと。
(ⅰ)事業計画期間終了後、新たに製造等する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の総売上高の10%又は総付加価値額の15%を占めることが見込まれるものであること。
(ⅱ)応募申請時の直近の事業年度の決算に基づく売上高が10億円以上であり、かつ、同事業年度の決算に基づく売上高のうち、新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、事業計画期間終了後、新たに製造する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の当該事業部門の売上高の10%又は付加価値額の15%以上を占めることが見込まれるものであること。

新事業進出指針の手引き」にて、具体的な考え方を示しておりますので、参考にしましょう。

(2) 付加価値額要件
要件 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定すること

→賃上げが要件になっています。未達の場合は補助金を返金する必要があるため、この点は注意しましょう。

(4) 事業場内最賃水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
要件 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること

(5) ワークライフバランス要件
要件 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
応募申請時までに、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定し、仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した一般事業主行動計画を公表する必要があります。

(6) 金融機関要件
要件 補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること
→金融機関のチェック・確認が必要になるため、早めに対応することが求められます。

<賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件>
(7) 賃上げ特例要件 【要件未達の場合、補助金返還義務あり】
要件 補助事業実施期間内に、以下の要件をいずれも満たすこと
(1)補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること
(2)補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること
→補助金額を上乗せする場合の要件です。賃上げ額のハードルが上がる点、注意しましょう。

4.補助対象外事業 

※一部抜粋しています。番号は公募要領記載のものに合わせています。

① 補助事業の主たる内容そのものを他者へ外注又は委託する事業、及び具体的な補助事業の実施の大半を他社に外注又は委託し、企画だけを行う事業
④ 不動産賃貸(寮を含む)、駐車場経営、暗号資産のマイニング等、実質的な労働を伴わない事業又は専ら資産運用的性格の強い事業
⑤ 会員制ビジネスであって、その会員の募集・入会が公に行われていない事業
⑥ 建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業
⑦ 1次産業(農業、林業、漁業)に取り組む事業
⑬ 事業計画の重複となる事業、本補助金において提出された、他の法人・事業者と同一又は類似した内容の事業
⑭ 国庫及び公的制度からの二重受給となる事業
・間接直接を問わず国(独立行政法人等を含む)が目的を指定して支出する過去又は現在の他の補助金、助成金、委託費等(以下「補助金等」という。)と同一の補助対象経費を含む事業
・公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等との重複を含む事業、及び同一又は類似した内容の事業
→就労支援施設の設置など、国の補助金・助成金を得る事業なども対象外となります。
⑮ 中小企業庁が所管する補助金(中小企業生産性革命推進事業、中小企業等事業再構築促進事業、中小企業省力化投資補助事業等)と同一の補助対象経費を含む事業
→他の補助金と同様の内容、追加の内容はNGです。新しい、別の取組が必要です。

5.補助対象経費 

※問い合わせの多いものに絞り、一部抜粋しています。
①機械装置・システム構築費
・機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作
・専用ソフトウェア・情報システム等の購入、構築

②建物費
・補助事業のために使用される生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場、その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修
・補助事業実施のために必要となる建物の撤去
・専ら補助事業のために使用される建物に付随する構築物の建設

③技術導入費
・補助事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費

④専門家経費
・補助事業遂行のために必要な専門家※1※2に支払われる経費
・補助上限額:100万円の制限があります。

⑤クラウドサービス利用費
・専ら補助事業のために使用されるクラウドサービスの利用に関する経費

⑥広告宣伝・販売促進費
・補助事業で製造又は提供する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、補助事業のPR 等に係るウェブサイトの構築、展示会出展、ブランディング・プロモーションに係る経費
・補助上限額:事業計画期間1年あたりの売上高見込み額( 税抜き) の5%の制限があります。

6.公募期間

申請受付:令和7年6月頃(予定)
応募締切:令和7年7月10日(木)18:00
補助金交付候補者の採択発表:令和7年10月頃(予定)

申請は、電子申請システムでのみ受け付けます。
→申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。未取得の方は、速やかに利用登録を行いましょう。

7.新事業進出促進補助金が合わない方

設備投資額が大きくない人
申請書や事務手続きが多くなることが予想されます。コストパフォーマンスを考えると、目安として1000万円以下の方は他の補助金をおススメします。

すぐにお金が欲しい人
補助金は①採択(合格)→②発注・購入、支払い→③報告書類提出→④清算払い、の流れで進みます。
①~④まで2年近くかかることも珍しくありません。その間、事業者様がこの経費額を建て替えることとなります。資金繰りを考えると融資も検討する必要があります。

パソコン作業が苦手な人
この補助金はインターネットでのオンライン申請となります。行政書士などの有資格者でも代理申請が認められない可能性があります。代理申請をした時点で不採択(不合格)となってしまう補助金が増えてきているため、事業者様自身で申請する心づもりでいた方が良いです。あまり難しい作業ではありませんが、エクセルやワードのソフトが使えない方はお勧めしません。

最後に

新事業進出補助金についてポイントを絞ってご案内させて頂きました。詳細についてはHPや公募要領(ルールブック)を参考に検討してください。

一般的に補助金額が大きくなるにつれて、求められる申請書のレベルが高くなり、作業の手間も増えます。この補助金は金額が大きいため、相当程度の申請書と対応が求められます。

申請にあたっては早めに準備することが必要です。当事務所では補助金に強い中小企業診断士・行政書士(再構築補助金・ものづくり補助金の採択実績多数)がサポート対応していますので、お気軽にご相談ください。
なお、問い合わせ状況によっては早めに対応受付を終了させていただきますのでご了承ください。

参考ページ

新事業進出補助金HP

公募要領(ルールブック)などの資料ダウンロードページもご参考ください

本記事は2025/4/22に公表された新事業進出補助金(第1回)の公募要領1.0版を参考に作成しています。最新情報・更新については新事業進出補助金HPをご参照ください。