日本在住の外国人の皆様へ重要なお知らせです。先日、産経新聞で以下の記事が出ました。
<以下、WEB記事からの引用です>
「在留期間が満了した外国人の預貯金口座の出金を停止、三菱UFJ銀行などが詐欺対策」
在留期間が満了した外国人の預貯金口座について、国内の一部金融機関が、出金を停止する措置を始めたことが8日、金融庁への取材で分かった。同庁は金融機関名を明らかにしていないが、共同通信の取材では少なくとも三菱UFJ銀行とみずほ銀行が開始。在留外国人により不正譲渡された口座が特殊詐欺などに悪用されるケースがあり、警察庁が昨年12月、全金融機関に導入を要請していた。システム改修などを経て各機関で順次始められる見通し。
金融機関は、在留資格の変更などで滞在期間を延長する場合は届け出が必要としているが、こうした手続きが利用者である外国人に十分浸透していない。届け出をしていないだけで適正に在留している場合があり、混乱も予想される。
政府が昨年決定した「国民を詐欺から守るための総合対策」には、在留期間に基づき口座管理を強化する方針が明記され、警察庁が金融庁などと協議し、金融機関に対応を求める通達を出した。
https://www.sankei.com/article/20250408-4776CGGWIVNVZCXJUG3MFPBXVM
<引用ここまで:産経新聞 2025/4/8 17:11>
1.最新の制度変更について
今回の変更は、適法に日本に滞在している方にも影響する可能性があります。特に在留期間の更新手続きを行った方で、銀行への届出を行っていない場合には注意が必要です。
この制度が導入された背景には、在留期間満了後に帰国した外国人の口座が不正に譲渡され、特殊詐欺などの犯罪に利用されるケースが増加していることがあります。
警察庁は昨年12月、全金融機関に対してこの措置の導入を要請し、各金融機関はシステム改修などを経て順次導入を始めています。現在は三菱UFJ銀行とみずほ銀行が先行して実施していますが、今後他の金融機関も同様の措置を取ることが予想されます。
2.具体的な影響と対象者
この措置により、以下の方々が影響を受ける可能性があります:
- 在留期間が満了した方:在留カードに記載された在留期間が過ぎている場合、口座からの出金が停止される可能性があります。
- 在留資格を更新したが銀行に届け出ていない方:入国管理局で在留期間を更新しても、その情報が自動的に銀行に共有されるわけではありません。銀行への届出が別途必要です。
- 在留資格を変更した方:就労ビザから永住者へ変更するなど、在留資格が変わった場合も銀行への届出が必要です。
3.口座凍結を防ぐための具体的対策
3-1. 在留カードの有効期限を確認する
まずは、お持ちの在留カードの有効期限を確認しましょう。在留カードの表面に記載されている「在留期間満了日」が重要な情報となります。期限が近づいている場合は、速やかに更新手続きを行いましょう。
3-2. 更新を行う前に金融機関に連絡する
最近は入国管理局の審査が遅れており、在留カードの更新申請を行った後、在留期限の特例期間(更新申請を行っている場合は、在留期限が2か月延長される制度)に許可が下りるケースが増えています。記事の通りの対応がされると、この間に金融機関の口座から現金を引き出せなくなってしまいます。その前に、金融機関に更新手続きを行っていることを伝えて、相談しましょう。ただし、金融機関の職員は在留ビザの制度や特例期間を知らないことも多いので注意しましょう。場合によっては現金をあらかじめ引き出しておくのも良いでしょう。
3-3. 在留期間更新後は銀行への届出を忘れずに
在留期間を更新した際は、利用している全ての銀行に対して更新の届出を行いましょう。具体的な手続きは以下の通りです:
- 必要書類:
- 新しい在留カード(両面コピー)
- 本人確認書類(パスポートなど)
- 銀行口座の通帳やキャッシュカード
- 届出方法:
- 銀行の窓口で直接手続き(最も確実な方法)
- インターネットバンキングでの手続き(銀行によって対応が異なります)
- 郵送での手続き(一部の銀行で対応)
※各銀行によって手続き方法が異なりますので、詳細は取引のある銀行に直接お問い合わせください。
3-4. 複数の金融機関を利用している場合の注意点
複数の銀行や信用金庫、ゆうちょ銀行などを利用している方は、それぞれの金融機関に対して届出が必要です。一つの銀行に届け出ただけでは、他の金融機関の口座は保護されません。
3-5. 長期間日本を離れる予定がある場合
仕事や一時帰国などで長期間日本を離れる予定がある場合は、事前に銀行に相談しましょう。一時的な出国であっても、在留期間中に帰国予定がある旨を銀行に伝えておくと、不必要な口座凍結を防ぐことができます。
3-6. 日本での生活が終了する場合
日本での生活を終え、帰国する予定がある場合は、できるだけ口座を解約することをお勧めします。特に、口座の不正利用を防ぐためにも、使わなくなった口座はきちんと解約手続きを行いましょう。
4.口座が凍結された場合の対応方法
既に口座が凍結され、出金ができなくなってしまった場合は、次の手順で対応しましょう:
- 銀行へ直接連絡:まずは口座を開設している銀行の窓口または電話でご連絡ください。
- 必要書類の提出:
- 有効な在留カード
- パスポート
- その他銀行が指定する書類
- 審査と解除:銀行が在留資格を確認した後、問題がなければ凍結が解除されます。ただし、審査に時間がかかる場合がありますので、急ぎの出金が必要な場合は早めに対応することをお勧めします。
5.よくある質問(FAQ)
Q1: 永住者も届出が必要ですか?
A1: 永住者の方は在留期間の制限がないため、基本的には影響を受けにくいですが、銀行によっては定期的な情報更新が必要な場合があります。ご利用の銀行に確認されることをお勧めします。
Q2: 在留カードを更新したら自動的に銀行に情報が更新されますか?
A2: いいえ、自動的には更新されません。入国管理局での手続きとは別に、銀行への届出が必要です。
Q3: オンラインで届出はできますか?
A3: 銀行によって対応が異なります。インターネットバンキングでの更新に対応している銀行もありますが、対面での手続きが必要な場合も多いです。
Q4: 一時的に帰国する場合も届出が必要ですか?
A4: 在留期間内の一時帰国であれば基本的に不要ですが、長期間になる場合や在留期間の更新時期と重なる場合は銀行に相談することをお勧めします。
Q5: 家族の口座も同様の措置の対象になりますか?
A5: はい、日本に在留する外国人であれば家族も同様の措置の対象となります。お子様の口座も含め、家族全員の在留資格情報を更新するようにしてください。
6.まとめ
この新しい措置は、詐欺犯罪から国民を守るための取り組みとして導入されました。しかし、適法に滞在している外国人の方々にも影響が及ぶ可能性があります。口座凍結によるトラブルを避けるため、在留期間を更新した際は必ず銀行への届出も行うようにしましょう。お困りの際には、当事務所へご相談ください。
また、今後も制度変更があるかもしれませんので、定期的に銀行からのお知らせや政府の発表に注意を払うことをお勧めします。皆様が日本での生活を円滑に送れるよう、適切な対応をお願いします。
※この記事は2025年4月現在の情報に基づいて作成されています。最新情報については各金融機関に直接お問い合わせください。