外国人経営者とコンサル
2025年3月16日

持続化補助金を活用しよう:第17回公募

補助金,持続化補助金

小規模事業者や個人事業主にとって、事業の成長や新たな取り組みを行うための資金確保は大きな課題の一つです。特に、新規顧客の開拓や業務の効率化を図るには、一定の投資が必要となります。しかし、自己資金だけで賄うのは難しいこともあります。そんな時に活用できるのが「小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)」です。本記事では、持続化補助金の概要や活用方法、申請のポイントについて詳しく解説します。

1. 小規模事業者持続化補助金とは?

持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化を目的とした取り組みを行う際に、かかる経費の一部を国が補助する制度です。事業の継続や成長を支援する目的で設計されており、特に新しい顧客層の開拓や経営改善を進める際に役立ちます。

変わった名称ですが、これは規模の小さい小規模事業者にとって、「生き残る・経営を持続するための課題=売上拡大」ととらえて設定された補助金とされています。

10年ほど続いている補助金なので、使ったことがある方や、複数回使っているリピーターの方も増えてきています。

補助金なので申請者全員がもらえるものではなく、事業計画書を提出し、その計画が認められれば採択(合格)するというものとなります。最近は採択率(合格率)50%ほどで推移しています。
申請書はA4用紙8枚ほどのボリュームが求められるため、このあたりの作成の労力や、受かるかの期待値を踏まえて申請するかを検討した方が良いと思います。

(1)対象となる事業者

持続化補助金の対象となるのは、以下のような小規模事業者です。
従業員数で判定されます。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時使用する従業員数が5人以下
  • 宿泊業・娯楽業・製造業その他:常時使用する従業員数が20人以下

個人事業主やフリーランスも対象となるため、比較的多くの事業者が申請可能です。

(2)補助対象となる経費

補助金の対象となる経費は、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 機械装置等費:事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
    ・生産販売拡大のための製造機械、飲食店のオーブン・冷凍冷蔵庫など
    ・単なる取り換え・更新はNG。機能向上であれば対象
    ・パソコン・スマホ等の汎用性が高い機器は対象外。
  • 広告宣伝費:チラシ配布・DMの郵送など
    ・商品・サービスの広報を目的としたものが補助対象
    ・単なる会社のPR(会社案内)、名刺、ショップカードなどは対象外
  • ウェブサイト関連費:HP制作・更新、WEB広告費など
    ・ウェブサイト関連費のみによる申請は不可。必ず、ほかの経費と一緒に申請する必要がある。また、ウェブサイト関連費は、補助金交付申請額の1/ 4 (最大 50 万円) が、申請額の上限となる点も注意です
    ・ウェブサイトに掲載する動画の制作費もこちらになります。
  • 展示会等出展費:展示会の小間代など
    ・オンラインによる展示会・商談会等も対象となります。
    ・採択・交付決定を受けた後に申し込む流れになります。また、指定の補助対象期間内に出展・支払いを完了する必要があるため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。
  • 委託・外注費:店舗の改装、利用者向けトイレの改装工事など
    ・自社での実施が難しい業務を第三者に委託・外注する費用が対象
    ・建物の増築・増床、コンテナハウスの設置など「不動産取得」となるものは対象外です。
    ・駐車場経営、貸倉庫経営、コワーキングスペース、インランドリー等、実質的に労働を伴わず有償でスペース・機械を貸与する事業運営も対象外となります。

(3)補助額と補助率

補助額は申請する枠によって異なりますが、基本的な補助率は2/3(補助対象経費(税抜き金額)の3分の2を補助)となり、補助金の上限額が以下の通りとなります。

①一般型:上限50万円

②インボイス特例:50万円上乗せ

  • 消費税の免税事業者だった人がインボイス登録を行うことで、補助上限額が増額されます。

③賃金引上げ特例:150万円上乗せ

  • 社内のアルバイト・社員の賃上げを行う(社内の最低時給のラインを+50円する)必要があります。

④創業型:上限200万円

  • 特定創業支援事業の認定を受けるなどの要件を満たす必要があります。自治体によって要件が異なるので、「市区町村_特定創業」でネット検索して見てください。

2. 申請の流れ

持続化補助金を申請するには、以下の手順を踏む必要があります。

①GbizIDの登録

・申請はJグランツという電子システムで行います。そのログインのために、GbizID登録を行います。マイナンバーカードとスマートフォンがあると登録しやすいです。詳細は「GbizID_登録」もしくは「GビズID_登録」と検索いただくと分かるかと思います。

申請にあたってはGbizID「プライム」の登録が必要になります。印鑑証明書または印鑑登録証明書が郵送する手続きがあり、登録に2~3週間かかることがあるため、早めに準備しましょう。個人の方の場合は、市区町村によってはコンビニのマイナンバーカードで取得できる場合もありますが、そうでない場合もありますので注意しましょう。

※私の市区町村では残念ながらコンビニ・マイナンバーカードの制度に対応しておらず、印鑑登録証(印鑑登録カード)を持って、市区町村窓口に手続きに行きました。

②事業計画書の作成

持続化補助金の申請には、事業計画書の提出が必須です。金融機関の融資とは異なり、審査のポイントは「事業の具体性」と「補助金の活用目的の明確さ」です。
事業計画書には、以下の点を盛り込むことが重要です。

  • 事業の概要(現在の状況や課題)
  • 補助金を活用する具体的な取り組み
  • 事業の成長見込み、など

公開されている公募要領に審査項目(チェックポイント)が詳細に記載されているので、その内容に応える記述を意識しましょう。Chat GPTなど生成AIの力を借りると効率的に進められると思います。

③商工会議所または商工会の確認

申請前に、管轄の地域の商工会議所または商工会の助言を受け、事業計画書のチェックをしてもらう必要があります。管轄の地域の商工会議所または商工会が不明な場合は、該当しそうな方へ連絡して確認してみてください。なお、このときに会員登録は不要なのでご安心ください。

事業計画書はGbizIDで電子申請画面(Jグランツ)にログイン・入力したものをプリントアウトして商工会議所・商工会に持ち込むことが一般的です。入力に少しクセがあるシステムになっているので、早めに入力を行いましょう。添付書類などは現時点では対応する必要はなく、事業計画書の中身が埋まっていれば大丈夫です。入力時の不明点については補助金事務局に問い合わせてみると良いでしょう。
※GbizIDの登録ができていないと、ログインができず入力もできないことになります。GbizIDの登録を急ぎましょう。

商工会議所・商工会の申請書確認後にもらえる「事業支援計画書」(様式4)が申請時の添付書類として必要になります。商工会議所・商工会側でも確認の締め切り日が設定されます(持続化補助金の申請締め切りより前の日程になります)ので、早めに対応しましょう。

今回は

・申請受付締切:2025年6月13日(金)17:00

・事業支援計画書(様式4)発行の受付締切: 2025年6月3日 (火)

の予定となっています。

(3)電子申請または書類提出

登録したGbizIDで電子申請画面(Jグランツ)にログインして、申請を行います。商工会議所・商工会の申請書確認後にもらえる「事業支援計画書」(様式4)を含めた書類を添付して申請します。

(4)審査・採択

締め切り後に事務局側で審査が行われ、2~3か月後(今回は2025年8月頃の予定)に、採択(合否にあたります)結果が発表されます。WEB上(持続化補助金のページ)でも公開されますが、メールでも連絡が来ます。

採択(合格)の場合でも、申請書類の記載内容の修正が求められ、その対応後に交付決定(正式な補助事業スタート=発注・購入ができるようになる)がされることが増えているようです。交付決定が早ければ、発注・購入も早くできるようになりますので、早めの対応を心掛けて下さい。こちらについても不明点は補助金事務局に確認するのがおススメです。

(5)補助金の実施と報告

事務局から「交付決定通知書」という書類が届いたら正式にスタートになります。この日以降に発注・購入したものが補助金の対象になります。

補助金の採択(合格通知)と交付決定(スタート)は同じでないことが多いため、交付決定通知書が来てから取り組むようにしてください。採択~交付決定日までに購入・発注したものは補助金の対象外になってしまうため、要注意です。

また今回の持続化補助金の対象期間は、交付決定予定 2025年8月頃~事業実施期限 2026年7月31日までの期間となっています。2026年の7月末までには購入・実施・支払いを終える必要があります。
すべての購入・実施・支払いを終えた後は実績報告書を作成して提出する必要があります。補助金の対象とした経費でどのような効果があったか、などをレポートにしてまとめます。また、購入したものの写真やレシートなどを提出しますので、どのような書類が必要かを確認しておきましょう。特に外注費:内装工事などは、ビフォーアフターの写真が求められる(工事前の写真も必要になる)点は要注意です。

実績報告書の提出期限は2026年8月10日となっていますので、こちらも遅れないようにしましょう。遅れてしまうと、補助金がもらえなくなってしまいます。

ここで更に事務局の書類チェックが入ります。修正対応や追加書類を求められることが一般的です。この対応が終わったところで、ようやく補助金が支給されることとなります。

3. 申請時の注意点と成功のポイント

(1)早めの準備が重要

補助金の申請は、書類作成に時間がかかります。特に事業計画書は審査の鍵となるため、余裕をもって準備しましょう。

(2)補助対象外の経費に注意

全ての経費が補助対象になるわけではありません。例えば、以下のような経費は対象外となります。

  • 事業に直接関係のない経費
  • 既存の借入金の返済
  • 社員の給与や人件費

(3)資金繰りに注意する

補助金は受かってから入金されるまで1年半程度かかります。つまりその間、補助金の対象経費は建て替えておくことになります。創業枠(補助上限額200万円)をフルに使った場合、300万円(消費税込みで考えると330万円)もの経費支出を抱えることになるわけです。

小規模企業にとってはこの金額は大きく、補助金を使うために必要経費を節約しなくてはいけないということにもなり兼ねません。

そこで覚えておきたいのは「融資」を活用することです。採択された持続化補助金の事業計画書を金融機関に共有すれば、融資は受けやすいはずです。ですが、初めての融資は知らないことだらけですし、不安も多いのも事実です。当事務所では融資のサポートに対応しておりますので、ご興味ある方は「問い合わせフォーム」からご連絡ください。

(4)専門家のサポートを活用する

補助金の事業計画書作成にはコツがあり、特に初めて申請を検討される方にはハードルが高く感じられます。商工会議所や行政書士、中小企業診断士などの専門家に相談しながら申請を進めると、採択率が向上する可能性があります。自分でできるところまでまとめて、専門家のサポートを受けると効率的に申請書が作成できるはずです。

4. まとめ

持続化補助金は、小規模事業者にとって非常に有益な制度です。特に販路拡大や業務効率化を目指す場合、補助金を活用することで負担を軽減しながら事業の成長を加速させることができます。

申請にはしっかりとした準備が必要ですが、適切に活用すれば、競争力のある事業運営が可能になります。補助金を活用し、事業の発展を目指しましょう。

5.参考URL

<一般型・通常枠のWebページ>

<創業型のWebページ>